退職手続きがすべて完了し、ホッとしたのも束の間、デスクの引き継ぎのために元従業員のロッカーを開けたら、そこには本人の私物と思われる謎の袋が…。
本人に連絡するのも気まずいし、そもそも、これがゴミなのか、まだ使う大切なものなのかを判断する責任を負わされるのが、本当に面倒だ。そんな経験はありませんか?
この記事では、その「面倒」を、未来のあなたが二度と経験しなくて済むように、たった一枚の書類で合法的に、かつ完全に解決する方法を、私の実体験から解説します。
なぜ退職者の私物は、こんなに厄介なのか?
退職者の残留私物が、ただの「忘れ物」で済まないのは、いくつかのリスクがあるからです。
- 法律上の原則:「会社は、従業員の私物を勝手に処分できない」
たとえ元従業員のものであっても、所有権は本人にあります。勝手に捨ててしまうと、後から「あれを返せ」「損害賠償だ」と、思わぬトラブルに発展する可能性があります。 - 保管するにも、スペースとコストがかかる
かといって、ずっと会社で保管しておくわけにもいきません。ロッカーやデスクが次の人に使えませんし、管理の手間もかかります。
【文面サンプル付】コピーして使える、私物に関する同意書の作り方
下に、基本的な同意書の文面サンプルを記載します。この文章をコピーし、WordやGoogleドキュメントなどに貼り付けてください。 その後、ご自身の会社名や状況に合わせて内容を修正し、A4またはA5サイズで印刷すれば、すぐに使えるオリジナルの同意書が完成します。
株式会社〇〇 代表取締役 〇〇 〇〇 殿
私は、貴社を退職するにあたり、退職日以降に貴社施設内(ロッカー、デスク、キャビネット等)に残置した一切の私物について、その所有権を放棄し、貴社の任意の方法による処分(廃棄を含む)に対し、一切の異議を申し立てないことを、ここに同意します。
また、万が一、残置した私物の郵送を依頼する場合には、その送料が着払いとなることに同意します。
日付: _____年___月___日
所属部署: ______________
署名(自筆): ____________ ㊞
※ご捺印が難しい場合は、署名のみで結構です。
いつ、どうやってサインをもらう?最適なタイミングと伝え方
この書類を渡すベストタイミングは、「退職願が受理された直後、最初の事務手続きの時」です。相手に不快感を与えない、リアルな伝え方の例をご紹介します。
「退職後の私物についてですが、念のため、こちらの書類にご署名をお願いします。基本的なお願いとして、金目のものや、ご自身にとって必要なものは、最終出社日までに必ずお持ち帰りください。 ただ、どうしてもかさばって持って帰りにくい物は、この書類にご同意いただければ、こちらで責任を持って処分させていただきます。なので念押しですが、本当に必要な物は絶対残さないよう気を付けてください。」
ひとり総務がよく悩むQ&A
この記事を読んだあなたも経験するかもしれないことと、こうなったらどうしようと考えたことも掲載致します。
- Q. 突然、連絡が取れなくなってしまった従業員の私物は、どうすれば?
A. これは、本当に難しい問題ですよね。周りに相談しても、「もう連絡つかないんだから、捨ててしまえ」と軽く言われてしまい、余計に困ってしまう…。私も、同じ経験があります。同意書がない以上、勝手な処分は絶対に禁物です。まずは就業規則を確認し、必ず上司に報告・相談して、指示を仰ぎましょう。 - Q. この同意書へのサインを、もし拒否されたら?
A. 今のところ経験はありませんが、もし拒否された場合は、その従業員の退職日当日に、必ず一緒にロッカーやデスクの中身を確認し、「私物は一切残っていません」という別の確認書を作成してサインをもらうつもりです。
まとめ
たった一枚の書類で、未来の法的なリスクと、「これ、どうしよう…」と悩む精神的な負担をゼロにできるので非常に気持ちが楽になるし、悩む時間がなくなるのでお勧めです。


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